2012年4月4日水曜日

日本子宮内膜症協会ホームページ




ここでは、子宮内膜症の基本的なことをまとめていきます。
まず、内膜症が心配な人、市販薬ではダメな下腹部痛のある人は、大きな総合病院に行ってみてください(情報公開が進んでいる国公立がとりあえずいいかも)。内膜症の自覚症状は、JEMAサイトの正しい医学と医療のグラフを参考にしてください(月経量が多い、塊が出る、不正出血などは腺筋症の特徴で、ふつうの内膜症とは関係うすい)。性交痛や排便痛は内膜症に特徴的で、下腹部臓器に癒着があることを示しています(ただしクラミジア他の感染症でも癒着はできる)。
内膜症の痛みがどう出てくるかは千差万別で、年を追ってしだいに強くなっていく人、何ともなかったのに突然激痛に襲われて救急搬送になってしまう人と、えらく違います。


[1]子宮内膜症の基本事項~診 断

病院に行って内膜症と臨床診断されても(問診、内診、超音波エコー、CA-125などの血液検査、MRIなどの、組み合わせ診断)、セカンドオピニオン(別の病院)をとりましょう。初診でGnRHアゴニストやダナゾールを処方されそうになっても、一度帰って考えると言いましょうね。低用量ピルや黄体ホルモンなら、初診でもらってもいいですが。内膜症を確かに臨床診断できる医師は、内膜症の手術に参加している医師と考えたほうがいいですよ。

ここ10年くらいでしょうか、内膜症と腺筋症はオイシイ病気になってしまいました。薬物治療を半年もさせることができる、薬価は高い、それをしても治るわけでもないので、何年も薬物治療患者としてつないでおける病気だからです。こんな医師につかまってしまうと、時間とお金を浪費するだけでなく、不健康になったという結果がついてきます。
内膜症の確定診断は手術ですが、これは診断としての価値より、治療価値のほうが圧倒的にあります(こんな病気も珍しいでしょうね)。

◆通院は一人で行くのがいいと思うけど・・・

若い人には厳しい話になるかもしれないけど、親や夫や恋人は、内膜症の本人とは存在が別の他者ですから、本人の痛みやしんどさや悩みは、本人と同じには絶対にわからないということを、肝に銘じておいたほうがいいですよ。疼痛が強く長くなってきたときや(仕事や日常生活のQOLが下がってくる)、たとえば不妊状態が1年2年と出てきたときに、まっさきに私たち本人を困らせてくれるのも、親や夫や恋人だったりします。もちろん、支えてくれる親や夫や恋人もいますよ(支え方がうっとうしかったりすることもある)。
とくに母親は、娘の内膜症を過大視する、過小視するの、どちらかに傾いているのがほとんどのようです。また、母親の女性疾患経験が役に立つか邪魔になるかも、難しいところです。さらに、本人のセックスライフや仕事や日常生活のさまざまなことは、母親の知らないことも多いはずだし、一緒に診察室にいると、結局はマイナスなほうが多いように思います。
夫の場合には、不妊医療をするかどうかというあたりからは、一緒に病院に行くべきです。
つきあっている相手は、親や夫以上の他者ですから、結婚(事実婚)の相手でないかぎり(それでも本人だけで行くほうがいい)、一緒にいく価値はほとんどないでしょう。 内膜症は私たち本人の身体問題ですから、本人自身が医療や人生を選択しながら、閉経までつきあっていくものです。
性交痛について、自分では説明できず、彼に医師に説明してほしくなったときなどに、つれていくのはいいと思います。


[2]子宮内膜症の基本事項~治療の基本(薬と手術)

臨床診断の人は、内膜症や腺筋症ではない確立が3割あるので、低用量ピルか黄体ホルモンが基本治療法だと考えてください。これらは、月経困難症(月経痛)、月経後から排卵頃までの下腹部痛、過多月経、PMS(月経前症候群)などの、世界標準治療法です(これを知らない医師は結構いる)。

そのなかでも内膜症の確立が高い人は、保存手術が基本治療となります(これが確定診断にもなるだけのこと)。内膜症はがんと似ていて、薬物治療だけでは何ともならない外科疾患と考えてください(ヘタな手術は術後癒着が多いため、痛みがまし、不妊が深まる)。それでも、手術ってなかなか大変な選択ですよね、そういう場合も、低用量ピルで心身を休めてあげて、ゆっくり考える時間をもつことをお勧めします。

保存手術のあと(確定診断にもなる)、再発したら(再発と言えるのは2年以降のことで、それより早いのは取り残しだろう)、もう一度保存手術をするか、準根治手術(子宮摘出)や根治手術(卵巣摘出)をするか、薬物治療をするかに、分かれます。 薬物治療の目的は、排卵を止めることと、女性ホルモン分泌大変動を一定化してやることで、病巣の進み具合を遅らせることです。

その方法として、GnRHアゴニストによる偽閉経治療(50代の閉経期から70代の老年期までどこになるか個人差が大きい)、ピルによる偽妊娠治療(妊娠初期状態)、ダナゾール治療(更年期状態)、黄体ホルモン治療があり、GnRHアゴニスト以外は内膜症病巣への直接攻撃作用があると言われています(ただし消せるわけではない)。

ですから、慢性疾患である内膜症に対するこれらの効果は同程度と考えて、リスクの違いでそのときどきに選択する必要があります(リスクが最も高いのはGnRHアゴニスト、最も低いのは黄体ホルモン)。

◆ホルモン剤の基本

ピル、黄体ホルモン、ダナゾール、GnRHアゴニスト、この4種類のホルモン剤の効果は同じことで、膨張している卵巣嚢胞がある場合には、それをやや小さくしてくれます。これは、ホルモン剤の使用中と使用後の排卵復活までの間は、排卵がないため、卵巣は自己活動を停止するので、たまっていた血液の水分が自然吸収されるからです(ドロッとしてくる)。嚢胞の病巣は、嚢胞の一部分だけですが(風船を膨らませた時の結び口の部分程度と思ってね)、どんなホルモン剤を使ってもこの小さな病巣は消えることはありません、ちょっと寝ててくれる程度です。つまり、どのホルモン剤を使おうと、排卵が止まり、ホルモン分泌大変動も一定化されるため、病巣や癒着がふつうに成長するのをかろうじて妨げることが できる、時間の猶予ができるということになります(ただ、ピッタリ時間を止めるとはいいがたい)。

GnRHアゴニストだけは、最初の1~4週間あたりでフレアーアップというエストロゲンが異常に分泌されてしまう期間があるので、その間は嚢胞が大きくなったり破裂したりする可能性はあります。

低用量ピルで消退出血をさせる使用法(周期的使用法)の場合、出血期間は若干成長傾向になるかもしれませんが、7日休んで再開すればまた安定します。これを避けるために、4週間ごとの休薬期間ではなく、連続使用する方法でもかまいません(3パックとか6パックとか自分流に。1相性でないとできない)。

◆使用の限度

どのホルモン剤も、デメリット(副作用や後遺症など)によって使用期限が考えられています。ダナゾールの通常使用では4ヶ月まで、GnRHアゴニストの通常使用では6ヶ月までです。しかし、黄体ホルモンと低用量ピルにそういう期限は言われたことはなく、5年でも10年でも薬としてさしたるデメリットはないと言われています。だからといって、低用量ピルや黄体ホルモンだけで内膜症の時間を5年も10年も猶予できるかと聞かれれば、ノーNOと答えます。

デメリット(副作用)というのは、どのホルモン剤でも初日から起こる場合もありますよ。
また、GnRHアゴニストの場合、閉経後状態にして病巣を眠らせるという作用があるわけですが、骨が減っていくのも血管が老化するのも同じ作用の範囲です。でも、ねらいからはずれた内容なので、便宜的に副作用と言ってるだけのことです。


どのように取るに薬剤をalieve

◆低用量ピル処方のガイドライン

日本では、低用量ピルを処方する場合、婦人科検診をしようという医師のガイドラインがありますが、強制力はありません。内膜症の人は避妊で使うわけではなく、月経困難症や過多月経の緩和のために使うのですが、そういう保険適応はないので(副作用の強い中用量ピルにはあるという矛盾があるが)、薬代は避妊同様に自費です。

婦人科検診については、避妊薬として出すときには検査まで自費で取る病院もありますし、検査は保険でやってくれる病院もあります。内膜症の治療として出すときは、ほとんどが内膜症患者として検査をするので(GnRHアゴニストやダナゾールを使った経験がある人などは、心身の検査をしたほうがいい)、保険でいけますが、なかには自費検査を請求する病院もあります。


[3]子宮内膜症の基本事項~卵巣の場合

卵巣嚢胞部分が5~6cmであれば(ただし正常卵巣は2~3?あり、排卵期には2倍程度になる)、保存手術が必須です。方法としては、チョコレート嚢胞部分だけ取り去る処置法、血液を吸引して嚢胞内部を焼く処置法があります(アルコール固定はやめたほうがいい)。腫れている卵巣1個を完全に取ると言われたら、別の医師を探したほうがいいでしょう。

処置は内膜症ではない各種腫瘍でもだいたい同じですが、水の場合と、チョコと間違いやすい出血性黄体嚢胞の場合は、自然吸収される可能性はあります(各種腫瘍をエコーで見分けられる医師は半分以下かも)。

卵巣が確かに腫瘍か嚢胞で腫れているのに、手術の話もなく、GnRHアゴニスト(リュープリン、ゾラデックス、ナサニール、スプレキュア、イトレリンで、注射剤や点鼻剤あり)や、ダナゾール(ボンゾールほか)を、4~6ヶ月やろうと言われたら、やめたほうがいい医者です。
これらの薬を手術に向けて2~4ヶ月使うのはいいですし(ただし6ヶ月もやる必要はない)、術後に妊娠したい人以外は、術後の追加薬物治療も悪くはありません。

チョコでも腹膜病変(内膜症の基本形でmm規模で下腹部臓器表面にあるミニ嚢胞)でも、薬物治療で消えることはなく、ちょっと眠ってくれる程度です。薬でチョコのサイズが小さくなるのは、病巣が減ったのではなく、たまっていた血液の水分が吸収されたと考えてください。また、チョコがあれば、腹膜病変や癒着もたいていあります。

チョコが破裂したり、しみ出たりすると、激痛(発熱、炎症反応)になる可能性が高く、お腹の中に血液が飛び散り、癒着が広がりますから(病巣が飛び散るわけではない)、早めに保存手術をしたほうがいい状態です。

◆チョコレート嚢胞の再発予防

チョコレート嚢胞の成り立ちを考えるとわかるのですが、チョコは卵巣良性腫瘍の1種です。他にも、水分がたまるもの、粘液がたまるもの、髪の毛や歯などがたまるものなどの良性腫瘍があり、いやな悪性腫瘍もある。これらの腫瘍の大半は、卵巣が排卵したときの大きな穴が自然に閉じるときに、たまに卵巣表層細胞(各種細胞に変化する能力がある)を取り込んでしまう、そこへさまざまな要因がそろったときに、卵巣内部で良性腫瘍や悪性腫瘍に育っていくと、ほぼ考えられています。

そして、チョコは、卵巣表面の腹膜病変がそういう取り込みのときにとりこまれ、内部でチョコとして発達していくという説が、ベルギーのドネ医師(前世界子宮内膜症学会長、世界一有名な手術プロ)の説としても最有力です。

そごで、内膜症の保存手術をするときには、卵巣表面の腹膜病変をすべて焼いてやること、というのが、チョコ再発予防方法です。それでも、再発しないってことではないのですが。でも、この方法で2年以上たっても再発した例がないと言う日本の専門医はいます。

ところが、彼らが言う卵巣表面の腹膜病変というのは、1mmもないものも言ってるの。彼らいわく、開腹手術で裸眼で医師がみても、卵巣なんてせいぜい3~10センチ程度なので、こういう重要な腹膜病変はほとんど見えない。腹腔鏡だからこそ、モニター画面いっぱいに卵巣表面を拡大して見ることができる。そうして、卵巣の裏側まで(ふつうあまり見ないらしい)、全球面の表面をくまなく検索し、0.1mmほどの腹膜病変まで見つけて焼いておくというのです。

そしてここが肝心ですが、それをするには、チョコの核出を先にやってしまうと、表面がくずれて見えにくくなってしまうので、チョコに触る前に、チョコを含めた卵巣表面の腹膜病変の掃除を先にやる、というのが、プロのこつだそうです。

どうでしょう、みなさん、主治医に要望できますか?

それと、痛みが強く、術後の妊娠希望があった場合、かなりの上級者の手術でないと痛みの対応までは無理かもしれません。年齢にもよるけれど、術後の妊娠希望なら、今回のラパロは妊娠だけを目的とすると割り切って手術を受けようと考えるのがベターでしょう。

◆卵巣チョコレート嚢胞のがん化

チョコレート嚢胞のがん化はほぼ疑いなくあるようです。96年の世界学会の頃は言われなかったのに、ここ2~3年かな、あたり前のように言われるようになっています。ただ、その比率は確実はものではなく、0.7パーセントなどと言われますが、チョコ全部を見たうえで全チョコにしめるがん化の割合を見てるわけではないですからね。これは、チョコを100人調べたら卵巣がんが共存していたのが0.7人という意味です。1000人見たら、7人ですね(世界のさまざまな統計の平均的なところ)。このなかには、どうみてもチョコを母体として卵巣がんが発生しているものと(チョコのがん化)、チョコと卵巣がんがなぜか共存しているタイプ(前者ではないとは言い切れない)の、2種類があります。

でも、チョコを長年もっている人は、チョコのない人(内膜症じゃない人)と比べて4倍卵巣がんが多いという統計も出てしまいました。

こういう統計を考えるときにはバイアスを考える必要もあります。長年チョコをもっている人は、おそらく不妊が多いでしょう。チョコがあれば腹膜病変も癒着もほぼありますから、当たり前の内膜症という意味で不妊が多いと言ってるのです。そうすると、昔からわかっている、出産していない女性は出産している女性より卵巣がんが多いという背景と、一致する部分が多くなるわけです。不妊で卵巣がんが多くなる背景は、妊娠出産授乳による排卵停止がない分、卵巣がんのリスクが増えるというものです。卵巣がんは、排卵の回数が多いほど、リスクが高まるようです。前述したように、排卵したときの大きな穴がふさがるときに、卵巣表層細胞を取り込むことで、卵巣チョコをはじめとする良性腫瘍やがんの悪性腫瘍が 発生する可能性があるからです。

卵巣がん(子宮体がんもです)は不妊の人、つまり出産してない人にリスクが高いことは、不妊治療の好きな医者たちでもずいぶん昔から知ってる当たり前の事実なんですよ。でも、言わないでしょ、お客さんが減ったら困るもの。不妊治療をしてる人に、40代からの卵巣がんや子宮体がんの予防のために、ピルで排卵止めた方がいいよって言う医師がほとんどいなかったのは、ひどい情報操作でしょう(言わないことも情報操作)。

このリスクを抑えるには、不妊の人も、一定期間(2~3人産んだのと同期間)、排卵を止める方法があります。その筆頭が、ピルですね。これは、ピルの副効用でもはっきりしていることで、ピルを使った女性は、卵巣がんと子宮体がんのリスクが大幅に下がると大規模疫学調査結果が出ています(ここに書いた統計は全部欧米のまともな統計)。40代になってからでも効果はありますよ。また、GnRHアゴニストやダナゾールは、きつい薬で副作用や後遺症のリスクはありますが、排卵を止めるという意味ではピル同様に役だっていますよ。


何が目や口から出血を生じる

さて、卵巣がんに種類があることや、卵巣明細胞がんは治療困難というのは、あまり知られてないと思います。ただ、卵巣がんの発生率は、日本は欧米の1/2~1/3だそうです。子宮けいがん < 子宮体がん < 卵巣がん という順番に診断も治療も難しいってことは知られてるかな。

たとえわずかでも、確かにチョコががん化する事実はあると、世界中の産婦人科学会でワーワー言われている現在、そういうことを頭の片隅に置いて治療を選択しないといけない(医師も患者も)と、強く思います。だから、チョコらしきものを臨床診断のまま(一度も保存手術をしないこと)、薬物治療だけしている医師の良識を疑うわけです。他人の命を左右する以上、そんなこと知らなかったで医者を続けていていいわけがないでしょう。内膜症の治療は医師それぞれの方針で違うんだーなんて、患者が遠慮する必要はないのです。

◆卵巣をとること

ここで、再発がほとんどに起こり複数回の保存手術が必要になるのに、なんで卵巣を全部取ってしまわないのっていう矛盾を感じる人がいるかもしれません。

けれども、20代や30代前半の女性の卵巣を、1個とて簡単に取ってしまうのは、好ましいと思えません。

一方で、卵巣を完全摘出したあとの更年期症状をやみくもに不安がる傾向も、よくないと思います。内膜症では、その選択をしたほうがQOLがグンと上がる人もたくさんいます。内膜症の重症の症状と、卵巣摘出による人工的な更年期症状は、問題性が全く比較にならないと思っています。

卵巣欠落による更年期症状がでれば(あるいは更年期症状問題が出なくても50歳以降の骨や血管ほかの健康維持のために)、子宮摘出している場合は、エストロゲンだけを補充するERTで十分に改善します。更年期症状を恐れて、重症の内膜症でQOLの下がったままの人生を送りつづけるような選択は、できれば避けて欲しいと思ってやみません。


[4]子宮内膜症の基本事項~子宮の場合(子宮腺筋症)

学会(世界でも日本でも)や世界子宮内膜症協会(EA)では、腺筋症は内膜症に関係あると考えてはいても、内膜症の種類には入れませんが、JEMAでは内膜症の1種類と考えています。なぜなら、ふつうの内膜症と一緒にもっている人がかなり多く、JEMAデータでは3割ほどなので(筋腫併発も3割ほど)、その診断や治療を無視するわけにはいかないからです。

腺筋症は、筋腫とは町内会が同じ、内膜症とは家族です。

さて、臨床診断で子宮が大きいと言われても、超音波エコーでは区別できないことが多く、MRIが必要でしょう。また、筋腫と言われているだけの人も、腺筋症やふつうの内膜症がないとは言い切れません。

腺筋症が最もできやすいのは、出産後の子宮です。また、流産や中絶で、わずかな期間妊娠しただけで発生する場合もあるようですが、全く妊娠したことがなくても、発生する人が増えているようです。

タイプとしては、子宮全体がびまん性に大きくなっていくタイプ、子宮後壁が厚くなるタイプ(前壁の人もいるが)、もっと部分的に集中しているタイプがあり、あとのタイプのほうが保存手術治療はしやすいです。

腺筋症は、実は非常にたくさんの人にあるようで、その半分くらいはさほど症状がないのではないでしょうか(あまり問題なく閉経するのでは)。しかし、痛みの強いタイプは、ふつうの内膜症の痛みよりきついと思います。ただし、腺筋症しかない場合は、月経時痛は激痛であっても、月経時以外の痛みはないようです。また、痛みはないかふつう程度で、過多月経が問題の人、さらに慢性貧血におちいってる人もいます(ヘモグロビンは10以上ないと生活のQOLが下がったままになる)。

腺筋症は、ふつうの内膜症以上に薬物治療の効果が出ませんが、低用量ピルや黄体ホルモンでうまくいける人はいます。

保存手術治療として、腺筋症の部分を正常子宮筋層から削り取る手術がありますが、筋腫のような独立した球体ではないので、効果的にうまくけずれる医師は少ないでしょう。かなり上手にたくさん取れた場合でも、2年で再発してくると言われています。効果としては、月経痛は減る、過多月経はあまり減らない、術後の妊娠効果は疑問(子宮内膜や卵管とのつなぎめの損傷で不妊になることもある)、というところです。また、子宮にメスを入れる手術は(筋腫核出手術も)、出血が多く、縫合も多いので、子宮とまわりの臓器や腹膜との術後癒着が多くなり、かえって痛みが増したり不妊が深まったりする人もいます。

腺筋症しかない人の場合、子宮摘出で問題は解決します。

ふつうの内膜症が併発している場合でも、痛みの強い子宮を摘出すれば全体の痛みはかなり減るし、子宮をおいたままでも、ふつうの内膜症病巣や癒着をはいであげれば、全体の痛みは緩和するでしょう。ふつうの内膜症や癒着も多ければ、卵巣・子宮摘出が効果的です。

腺筋症の保存手術や子宮摘出も、卵巣の手術と同様に、じょうずな医師にやってもらわないと(毎週、婦人科手術をやっている医師)、術後癒着が複雑にできて、生涯の痛みを抱える可能性があります。


[5]子宮内膜症の基本事項~癒着の場合(腹膜病変)

内膜症の病巣の基本形は腹膜病変と言われるもので、下腹部内の各臓器や腹膜(おなかの内壁)の表面に、0.1~5mm程度のミニ嚢胞として(内部に血液や他の液体がたまっていることが多い)、ポツポツとあります。卵巣チョコレート嚢胞は超音波エコーで見つけやすいですが、チョコがあれば腹膜病変もたいていあるのに、こちらはエコーやMRIではほとんど見えません。チョコのない内膜症の人は(こちらの方が多いかもしれないのに)、内膜症の診断がつきにくいのです。

腹膜病変があれば、たいてい癒着はあります。内膜症は勝手に癒着ができてしまう病気で(クラミジアなどの感染症でも癒着はできるが)、癒着によって痛みが複雑に長くなっていく可能性があります。

腹膜病変のなかの赤や透明のイキイキタイプ(活性化病変)が少しでもあると、かなり痛いし(ほぼ確定した説)、不妊にもなりやすいようです(まだ確定した説ではない)。いっぽう、黒紫や白い病変は古いもので、たくさんあってもさほど痛くないようです。それで、病巣や癒着の量(これで1期~4期を決めている)と、痛みや不妊などの症状は、比例しないと言われるわけです。

下腹部内の大切な臓器(一生使う腸や直腸、尿管や膀胱など)と卵巣や子宮(使用期間限定の臓器)が癒着することもあるし、大切な臓器の表面に腹膜病変ができることもあり、下痢、吐き気、排便痛や性交痛、頻尿や尿量減少や排尿痛などの問題が起きる人がいます(尿管がひどくやられ、そちら側の腎臓が働かなくなってしまう人もたまにいる)。

卵巣表面に腹膜病変や癒着ができると、チョコになったり、月経後から排卵に向けた期間に痛みが出て来たりします(なかには排卵しにくくなる人もいる)。卵管表面にできると、癒着性の不妊状態になってきます。

また、ダグラス窩(立っても座っても一番底になる空間、子宮の後ろ側で直腸との間)にできると、子宮と直腸がくっつくため、痛みは強くなったり長くなったりするでしょう。

内膜症の癒着が進むと、腰痛がかなり出てくるようです。

腹膜病変も癒着も、保存手術治療で処置するのが一番効果的です(術前術後の薬物治療もよい)。できるだけ多く処置してやれば、痛みはかなり減り、不妊も改善し、再発の期間も長くなります。薬物治療(別名はホルモン治療)をしても、使用中と使用後半年程度、眠らせる効果しかないので、長くだましておきたいなら(それでも少しずつ進んでいく)、何度も言うように低用量ピルか黄体ホルモンです(ダナゾール低用量治療もいい)。


薬は何ですか?

でも、それしきの効果しかないのならと、ホルモン剤(ピル、黄体ホルモン、ダナゾール、GnRHアゴニスト)による薬物治療をしないでいると、鎮痛剤、漢方薬、サプリメントなどを使っていても、たいていの内膜症はふつうに進んでいきます(早く激しく進む時期とゆっくりの時期がある)。その理由は、ホルモン治療をしないかぎり、排卵も止まらないし、ホルモン分泌大変動もそのままだからです。

痛みが4週間のうち半分以上になってきたら、仕事や日常生活のQOLはかなり落ちたままだと思われますので、できれば準根治手術(子宮摘出)か根治手術(卵巣摘出)を考えてみて下さい(効果については腺筋症部分を参照してください)。


[6]子宮内膜症の基本事項~内膜症と不妊

◆内膜症における不妊医療の基本

内膜症や腺筋症では、半分が出産、半分が不妊(うち、妊娠しても出産に至らない人も多少いる)と思ってください。また、出産した女性でも内膜症や腺筋症はやってきますし、元々あれば再発します。ほんとにやっかいな病気ですね。

妊娠しない状態が1年~2年あった場合、女性に内膜症や腺筋症がみつかると(確定でも不確定でも)、そのせいだと言われてしまうのですが、男性の精子問題、女性の排卵問題や子宮内腔状態問題、男女の免疫関係問題など、一般的な不妊問題も十分考えられます。

こういう一般不妊検査を一通りやるのか、そこまでしないのかも、カップルでよく考える必要があります。こういう検査をやらないのであれば、内膜症を主眼においた不妊医療の効果は半分以下だと思わないとね。問題を広くさがしてないのに、一部の問題に対処してるだけだから。
また、妊娠にトライしている期間、不妊医療にトライしている期間は、内膜症にいいことは全然やっていない、むしろ悪いことをやっているので、ほんとうの内膜症であれば進んでいく可能性が高くなります。

内膜症と不妊が共存している人は、知識や情報を十分に集めて、自分やカップルで判断する必要がかなりある状態です。医師まかせは危険ですし、妊娠のためだけに5年や10年を過ごしてしまうことも、のちに時間の使い方を悔やむ可能性があります(不健康になっただけという人も多い)。不妊状態が確かにある内膜症(確定診断の人)の人が出産する割合は、5人に1人程度と心得たほうがいいです。厳しいですが、それが世界の現状なのです。子どものいない生き方を模索する時期が来るかもしれないという意識も、どこかにもっておく必要があるのではないでしょうか。

◆子どもがいないのは不幸か

現在生きている女性のなかで、30代、40代、50代、60代、70代、80代で見ると、内膜症や腺筋症で結局子どもはできなかったという人は、100万人はおられると思います。日本の内膜症が100万~200万人と言いますが、それは10代後半~50歳過ぎまでの層で言ってることなので、80代までのかつて内膜症だったという人数を想像すると(内膜症は19世紀からある)、このような推定ができるわけです。

では、100万人もの内膜症や腺筋症で子どものできなかった先輩女性たちは、みな不幸でしょうか? そんなことありえないって、すぐわかりますよね。長く悩んだ人は多いでしょう、でも、それは肥やしになったという人も多いはずだし、自分らしい人生を歩んでいる人は山ほどいるはずです。

また、こういう想像もしてみてください。みなさんを含めたすべての人間は、女性が出産した結果で生まれてくる、みなどこかの家庭に生まれてきたわけです。では、人間を生み出してきたすべての家庭が幸福ですか? これもそうじゃないこと、すぐわかりますよね。

子どもができれば幸福で、できないと不幸、これは延々と語り継がれてきた「ウソ」です。

最後に、世間一般では、老いも若きも女性は出産するものという考え方がきついので、まだまだしんどい状況が多いと思いますが、内膜症は身体的な痛みが続く可能性のある病気ですから、せめて、自分で自分を追いつめたり、みんなでみんなを追いつめるようなことだけは、避けたいではありませんか。

◆内膜症で不妊状態のときの治療

不妊検査をやって、男性問題なし、女性側も内膜症以外に問題なし、両性の免疫問題もなしとなると、内膜症のために妊娠しないと疑われます。その場合の治療を書いておきます。

まずは腹腔鏡保存手術でしょう。これは、内膜症の不妊や痛みの治療になると同時に、内膜症の確定診断にもなりますが、それ以上に、不妊にとっては、不妊医療をどう進めていくべきか否かの判断材料集めになるのです。ですから、術後は病巣や癒着について徹底的に医師に聞きましょう(術前にそう言っておかないとね)。

内膜症治療薬のGnRHアゴニストやダナゾールは、内膜症による不妊に対して何の効果もなかった、貴重な妊娠可能年月を浪費するだけだったと、2000年の世界子宮内膜症学会で結論されています。ただし、術前に手術をしやすくするための薬物治療は2~3ヶ月ほどで価値があります。術後の薬物治療は無駄な期間です(痛み改善には価値あるけど)。

さて、腹腔鏡をした時には、卵管と卵巣の病巣と癒着を丁寧に処理してもらうこと。このとき、不妊もつらいけど痛みもつらいという人は、難しい立場です。痛みの保存手術治療は、すべての病巣と癒着を完全に処置してやること、つまり良い処置ができたパーセンテージによって、痛みの改善率が決まってくるのですが、妊娠のためには、卵管と卵巣部分の丁寧な愛護的な処置だけでやめたほうがいいという考え方も成り立つからです。ただ、痛みはあまり改善されないというおまけがついてくるので、ほんとに悩むところです。

また、卵管がどれだけ障害されてるか(病巣や癒着のために)で、それを丁寧に処置してあげたとしても、あまり障害されてない卵管の人と比べると、術後の自然妊娠は明らかに悪いということもわかってきています。この点から、卵管の障害具合がひどければ、体外受精にすぐもっていくのが合理的となります。 また、ヘタな保存手術は術後癒着が複雑にできて、不妊も痛みも強まってしまいますので、医師を選ぶのは必須です。

内膜症の人の体外受精は成績が悪いという医師と、変わらないという医師がいますが、どちらかというと悪いという海外報告が目だつようです。内膜症は、お腹の中の病巣や癒着の程度と全く関係なく、わずかな1期病巣でも不妊になるかと思うと、コテコテのウルトラ4期でも出産したりする、わかりづらい病気です。これは、内膜症のイキイキした病巣が少しでもあると、妊娠が成立するために必要なさまざまな部分で邪魔をするような腹腔内化学的環境におちいってしまうからと言われています。癒着による問題を物理的不妊と呼ぶと、こちらは化学的不妊と呼べます。

内膜症があろうとなかろうと、体外受精には3回という目安があります。4回目からの成績が3回目までと比べてガクンと落ちるからです。また、20代は成績がよく、35歳までがまあまあで、35歳を過ぎるとガクンと落ちること、40代はかなり大変なことも事実です。このどうしようもない女性の卵巣機能低下は、内膜症がだんだん和らいでくるという意味では、嬉しいことなんですけどね。



[7]子宮内膜症の基本事項~主治医と話しが違う

内膜症の臨床診断の人は、内膜症ではない可能性が3割はあるので(つまり誤診)、これまで書いた内容が、自分の将来に起こることなんだわ~ と、あまり悲観的にとらないほうがいいですよ。また、確定診断の人でも、症状や進み方は千差万別ですので、全部自分の将来に起こることだわ~とは、考えなくていいと思います。
JEMAは、過去8年ののべ約1万人会員(※会員:会員制度は03年9月10年度より廃止されました)の事実や、1996年と2001年の大規模全国データ、世界子宮内膜症協会の大規模データ、国内外のまともな医学・医療情報などによって、多くの正しい有効な情報を提供しています。
自分の主治医の説明や治療方針と全然違うわ~という人も多いでしょうが、医師それぞれに妥当な考え方があるなんてほとんどウソです。日本では、まともな情報を知らない医師や、知っててもだまって違うことをする医師や、自分はちゃんとした医療をしていても多くの医師がおかしい医療をしているとは公言しない医師などが、多いだけのことです(これは内膜症に限ったことではなく、あらゆる病気で言える)。
とくに治療に関しては、JEMAは世界の常識を書いているのであって、最新のめずらしい治療を書いているのでも何でもありません。慢性疾患(現在存在する治療をしても完治しない病気のこと)の治療の基本は、長く続けられる効果的なものであり、内膜症をもつ女性の生涯の健康をできるだけ下げない治療です。
不妊治療(とくに注射タイプの排卵誘発)は内膜症を悪化させる、というのも、JEMAが設立まもなく言い始めたわけですが、最初は反目してた医師もいたものの、もう誰も違うとは言わない。なぜ患者団体に言われるまで、医療は動かないのでしょう。患者団体がしっかりしていない領域では、日本はまともな情報は出ないままなのでしょうか。
内膜症と上手につきあっていくには、内膜症という病気について知ること(同時に女性のからだについて知る)、内膜症の医療について知ること、まともな医療をしている医師を選ぶこと、思いを語れる人や場所をもつこと(個人的な情報に惑わされないようにして)、からだだけでなく心の健康も大切にすること、できれば家族関係を自分に心地よいものにすること、などです。
2002年2月末の第8回世界子宮内膜症学会(サンディエゴ)に出席しましたが、最も熱く語られていたのは、何十年も昔からあったのに、80年代後半から90年代はGnRHアゴニストに追いやられていた低用量ピルや黄体ホルモンの効果とリスクやコストの低さ、効果的な保存手術の解説、1期2期の不妊をどうするか、でした。なお、画期的な薬物治療の開発はまだですが、それにむけて各方面からの模索は進んでいますよ。


[8]子宮内膜症の基本事項~これまでに書かなかった大事なこと

◆鎮痛剤

鎮痛剤は、市販薬でも病院処方薬でも、痛くなってからでは間に合いません。鎮痛剤のしくみは、痛みの原因の一種であるプロスタグランジンというたんぱく質(心身に必要な働きもある)が体内で多く発生するのを妨げることで、発生する痛みを減らしたり、感じる痛みを減らしたりするものです。だから、せめて痛くなる前日から飲んでください(そのためには自分の月経周期を知る必要がある)。
4週間の一般的な月経周期のうち、1週間くらいなら飲んでいいと思いますが(正しい用量用法で)、それ以上になる人は、保存手術の時期と考えたほうが心身のためでしょう。

◆漢方薬

漢方薬は、内膜症にはこれと決まったものはなく、体質、内膜症やそれ以外のさまざまな身体症状、とくに困っていること、などを総合判断して、処方を決めていきます(わからない場合は当帰芍薬散が万民むき)。だから、心身全体の調子を整えていく総合治療として良いですが、排卵を止めたりホルモン分泌を一定化したりはできないので、漢方薬だけ使っていても内膜症は進みます(臨床診断の人は内膜症ではない可能性があるので、漢方薬だけでも悪くはないと言えるかなあ?)。

◆サプリメント

サプリメントは、漢方薬(中国で千年以上、日本でも数百年の実績がある)とは違い、使われている年数も患者数もあまりにも少なく、効果の証拠(科学的証拠も経験的証拠も)がほとんどありません。また、医薬品ではないので、公的管理がほとんどありません。だから、今は、自己責任で使う加工食品扱いです。サプリメントは天然物が多いから副作用(心身に問題となる作用)がないなんて、甘く考えるのはやめましょう。 ただし、ビタミン、カルシウム、鉄分、微量元素などは、人間には必須のものなので(現代的な食事では少ないしね)、適度に取るのは良いと思います。

人間の全身は化学工場なんですよ。全身の細胞の健全な化学変化に必須のものはたくさんありますが、なんといっても血管のなかをスルスルと流れる血液が一番大切ではないでしょうか。冷えは(解消できないストレスも冷えを招く)、血液の流れを滞らせる大敵、内膜症の人はとくに、衣食住のすべてでからだをあたためましょう。あたためると、痛みも確実に減ります(冷えると痛みは増す)。

◆血流の改善

血液スルスルというと、またサプリメントに頼る人がいそうですが、生活のしかたを見直すことで十分あたためられます。たとえば、お風呂は心臓をつけないようにして(下半身浴という)、40℃位までの温度でじっくり入りましょう(水分補給を忘れずに)。複式呼吸をともなった軽い体操もいいですね。飲食や衣服も改善しやすい分野です。


[9]子宮内膜症の基本事項~新しい治療の可能性

2002年2月の世界学会に参加しましたが、残念ながら画期的な新薬や治療法が発見されたという情報はありませんでした。

しかし、アレルギー疾患との関連性、自己免疫疾患との関連性、慢性炎症性疾患との関連性など、内膜症の研究が深まってきて、部分的に見えてきたものから、その部分の異常には、「リウマチ治療薬」「抗アレルギー剤」「COX-2選択的阻害の鎮痛剤(NSAIDsの新型)」などの既存薬が使えるのではないかとささやかれ始めてはいます。ただし、これらの薬が、内膜症があることで体内で起こるすべてのことに対応するとは考えないほうがいいと思います。また、これらの薬は毎日ずうっと使いつづける必要がありそうで、副作用問題も心配です。
いっぽう、プロゲステロンは50年ほども前から使われてきた内膜症の治療薬で、確かに効果的です。でも、そのあとピルが出て、ダナゾールが出て、GnRHアゴニストが出て、高い新しい薬が日本の医療では好んで使われる傾向があるので、忘れ去られていました。また、不思議ですが、抗プロゲステロン剤も内膜症に効果的なようで、こちらはあと2~3年で出てくるようです。それでも、治験の途中経過を聞いても、今あるホルモン剤を大きくしのぐような効果ではないようです。

つまり、今後も画期的な薬の予定はないけど、排卵抑制できるホルモン剤だけでなく、内膜症のしくみのなかの一部の異常に対処できる薬が既存薬の中にあるではないか、と言われはじめ、使う薬の幅が増えるということになる、ということだと思います。

現段階では内膜症の適応はなく、どれもすでに他の疾患で使われている薬か、現在治験中の薬ですから、当事者が使って実質的な臨床試験をやっていくことになるのでしょう。内膜症の保険適応を申請するには、どれも科学的証拠が全く足りないと思うので(低用量ピルのように海外の確かな内膜症予防証拠があっても保険適応はほど遠いのだから)、主治医と患者で勝手に使うということになります。

すでに存在する薬には添付文書もあるし、副作用もだいたい把握できているわけですから、内膜症の人が使ってとんでもない副作用が突然起こる可能性は低いと思われます(それでもJEMAがまともに内膜症薬の副作用や後遺症の実態調査をしたら、添付文書とはケタ違いだった前例があるので、企業の添付文書をまるのみはいけない)。


内膜症や腺筋症は、月経時や月経時以外の痛みがなぜ起こるのか、その全容さえ解明されていません。病巣がなぜできるのかが、まだだからでしょうね。今後は、慢性炎症性疾患の発症や悪化の解明研究から、内膜症の解明も進むのではないかと予想しています。



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